8月8日、南三陸町内にある入谷小学校の先生方が、夏休み中の職員研修として、南三陸311メモリアルを訪問されました。

今年1月には入谷小学校の5-6年生が震災学習で訪問してくださいましたが、今回のように職員研修として訪問いただくのは初めてとのこと。

今回の研修先としてメモリアルをお選びいただいたのは、「震災を学ぶと同時に、自分たちが子どもたちに何を伝えていけるのかを考えるきっかけにしたい」という目的からとのことでした。


まず初めに、震災当時に南三陸町役場職員だったスタッフから、この町の防災計画や避難計画がどのような考えで構築されたのか、そして東日本大震災をへて得られた教訓は何かをお伝えしました。

今回の研修では、館内展示とあわせて、今年4月に新しく公開されたラーニングプログラム3「いのちを想う」をご覧いただきました。

大勢の人と避難場所にいるという安心感が危険を察知する感覚を鈍らせてしまうことがあることを学ぶとともに、当時の小中学生や漁師たちの証言から、彼らが被災後をどう生きてきたのかに耳を傾け、考えるためのプログラムです。

南三陸311メモリアルのラーニングプログラムでは、「この状況で、あなたならどうしますか?」という問いかけが参加者に投げかけられます。

ラーニングプログラム3「いのちを想う」では、震災時の実際の避難行動による反省を口にした町民の証言をヒントにした問いかけとなっており、先生方も話し合いながら選択をしていました。

証言映像を観ながら、投げかけられた様々な問いかけについて対話しながら、参加者同士で考え合うというのが、当館のラーニングプログラムの特長です。当時この町で経験したときの様子を話したり、普段の子どもたちの様子を思い出しながら対話されている姿が印象的でした。

ラーニングプログラム終了後に、当時この町で震災を経験された先生から感想を伺いました。

「当時は大学生で、実家で牡蠣むきを手伝っていたときに揺れました。今担当しているのは震災後に生まれてきた子どもたちです。何を伝えられるか、何を考えてもらうべきか、自分の経験も伝えながら考えていけたらと思います。」


南三陸町入谷地区は、町内で唯一海に面していない地区であり、震災時も津波被災がほぼありませんでした。そういった地区で暮らす子どもたちへの震災学習は、海が見える地区の子どもたちへの伝え方とも異なるかと思います。

震災時に南三陸町で被災した先生、近隣市町村で震災を経験した先生、震災後に教師になった先生、震災時は町を離れていた先生。先生それぞれの経験が異なる中で、震災後に生まれた子どもたちと震災をどう考えるのか。

南三陸311メモリアルのラーニングプログラムは、防災や自然災害に対して明確な答えを提示するプログラムではありません。「自分なら、どう判断して行動するか」、それを考えるきっかけをつかんでいただくためのプログラムです。

子どもたちと日々を共にする先生方が、子どもたちとともに考えるために、少しでもお力になれたなら幸いです。

 

入谷小学校の先生方、ご来館いただきありがとうございました。

2024年7月14日に、スズケングループ労働組合連合会の皆さまが、南三陸311メモリアルに来館されました。

今回、連合会としての総会に合わせて南三陸町で研修をされるとのことで、メモリアルの展示見学とラーニングプログラム、震災当時高校生だった方の語り部を聞くプログラムを受講されました。

館内入ってすぐのエントランスには、震災に関する数字やデータをまとめたパネル・立体地図があります。スタッフより、自分達が今立っている場所は震災後に10.8m嵩上げした土地であること、そしてこの施設の天井とほぼ同じくらいの地点に津波が到達したことをお伝えしました。また、旧防災対策庁舎を襲った津波の高さ15.5mのラインが壁に示されており、首を大きく傾けて見上げながら「想定外」の事実を目の当たりにしました。

その後、東日本大震災のエピソードをまとめた展示や証言映像、資料などが並ぶ展示ギャラリーへ進みます。旧防災対策庁舎の屋上で生存した方々の証言映像では、全員が食い入るように視聴していました。

ラーニングプログラムでご覧いただいたのは、「そのとき命が守れるか」というレギュラープログラムです。

震災時に、町内の指定避難所・避難場所の多くが津波に襲われたという南三陸町の事例から、自然災害発生時には想定をはるかに超えた事態に直面する可能性があるということを学びます。

震災当時中学生・高校生だった証言者たちが、あの日津波に襲われた避難所でどのような避難や対応をしたのか。そして消防士として人命救助にあたる職務についていた方々が、震災を経て「自分の命を守る」ということの意味をどのように捉え直したのか。

プログラム中には教訓から得られた問いかけと、参加者同士での対話の時間が設けられています。それらを通じて、新たな気づきや考えを手にすることができるのが、ラーニングプログラムの特長です。

最後に、参加された方々の感想をご紹介します。

福島から参加された方は、「こんなに自分で考えさせられるプログラムは初めてでした」と、多くの気づきがあったとのことでした。

「普段薬局などに関わることも多く、店舗にいる際にスタッフを先に避難させることもあります。その際に、自分自身の避難行動も考えておかなければいけないんだと気づかされました。」

名古屋から参加された方は、「被災された方々の映像は、正直心苦しいものがありました」とのことで、自分の命を守るということを深く考える時間になったとのことです。

「医療や福祉などの分野で働くエッセンシャルワーカーが多い企業。自分の命を守ることで、薬を必要とする人に届けられたり、介護福祉を必要とする人をサポートできたり、そうやって医療を必要とする方々の命を守ることにつながるんだと思いました。」

スズケングループ様は、医薬品卸売事業や介護福祉事業、ヘルスケア製品開発など、広く医療分野に関わる事業を展開する企業様ということもあり、「人を助ける」ということを強く意識する仕事が多いとのことです。そういった企業活動の中に、南三陸町をはじめ、東日本大震災被災地の教訓を生かしていただけたら幸いです。

ご来館いただき、誠にありがとうございました。

7月5日、町内にある志津川中学校の1年生のみなさんが、授業の一環で南三陸311メモリアルへお越しくださいました。

  

志津川中学校のみなさんは、2022年10月の開館当初から毎年授業の中で訪問いただいており、今年で3年目。特に、今年来館された生徒さんたちは震災時に生まれた世代でもあります。

志津川中学校では地域づくりと地域産業に根差した探究学習として、「森里海連環学」に取り組んでいます。南三陸町の海や漁業のこと、森や林業のこと、そして震災やそこを堺に変化した町のことなどを広く学びながら、自分が今後取り組んでいく探究テーマに繋げていきます。

今回ご覧いただいたのは、レギュラープログラム②「そのとき命が守れるか」です。

このプログラムでは、震災当時の中学生、そして志津川高校の生徒だった方の被災体験やその瞬間の決断や行動、その体験から感じていたこと、12年が経った今になって考えたことが語られています。自分たちの先輩がとった行動、そして今まさに自分たちが暮らす町での出来事を目の当たりにし、驚きと同時に中学生でも訓練や経験を活かしてできることがあるんだと感じた生徒さんも多かったようです。

ラーニングプログラムには、被災体験から得られた問いかけと、参加者同士で考え合う対話の時間が設けられています。対話する時間では、「家の裏ならすぐに高台上がれるかも」「うちはばあちゃんいるから支えないと無理だ」「あの道通れなかったら逃げられなくない?どうする?」など、もし自分だったらどのように判断し行動するのか、話し合いながら考えを巡らせているようでした。

参加した生徒さんからは、「震災の時は生まれてなかったから覚えてることはないけど、それでも命を守らなきゃいけないのは凄く感じた。」「この町が昔あんな大変な光景だったなんて想像できなかった。でも、それを知って自分たちが何ができるのか考えられると思う。」など、様々な感想をいただきました。

 

 

開館以降、毎年町内の小中学校の多くが震災学習・防災学習の一環でメモリアルを訪問いただいております。南三陸町で生まれ育つ地元の子どもたち、そして震災を知らない世代の子どもたちに南三陸町の経験を語り継いでいくことが、南三陸311メモリアルの役割のひとつであると、私たちは考えています。

そして伝えるだけではなく、命を守るために何が必要なのかを一緒に考えていくこと。それが、子どもたちの未来のためにこの南三陸町でできることの一つなのかもしれないと、あらためて考えました。

志津川中学校のみなさま、ご来館いただき誠にありがとうございました。

2024年5月24日、チリ地震津波の日として制定されたこの日に、映画監督の堤幸彦さんとスタッフの皆さんが南三陸311メモリアルに来館されました。

この日は気仙沼市を訪問し、震災遺構大川小学校を訪れる前に、昼食も兼ねて南三陸町へお立ち寄りいただいたとのこと。

館内で開催していた語り部企画「チリ地震津波の記憶を語る」では仲松敏子さんの言葉に耳を傾け、その後はラーニングプログラムへもご参加いただきました。

生の言葉で伝承していくことの重要性を再認識したとお話されながら、ラーニングプログラムでは「非常に能動的なプログラムでした」と、お話されていました。

堤幸彦さん、スタッフの皆さま、ご来館いただきありがとうございました。

【選択プログラム】ラーニングプログラム②「そのとき命が守れるか」
【日時】2023年3月6日(月)
【人数】24名




3月6日に京都市立西京高校様が来館されました。西京高校様の教育旅行では、7つの訪問先から生徒それぞれが行きたいコースを選択。その中の1つ、東北コースのテーマは「震災・防災」です。東日本大震災の震災遺構や伝承施設など中心に各地を訪問する6日間のうち、1日を南三陸町で過ごされます。

「昨年の秋頃に、2年生が教育旅行で南三陸町に行き、南三陸311メモリアルのラーニングプログラムを受講しました。引率した先生方が『生徒が熱心に学べる施設だったよ』と勧めてくれたので、1年生の教育旅行先にも選びました。私たちが住んでいる京都では、過去に阪神淡路大震災もありましたし、今後南海トラフ地震が起こると言われています。防災について、もっと知っておくべきじゃないかという意識が高い生徒が、東北コースを選択してくれました」




南三陸311メモリアルに入ってすぐのエントランスには、震災に関する数字やデータをまとめたパネル・立体地図があります。スタッフより、自分達が今立っている場所から約10m下の場所に町があったこと、そしてこの施設の天井とほぼ同じくらいの地点に津波が到達したことを説明してもらいました。壁には旧防災対策庁舎を襲った津波の高さ15.5mのラインが示されていて、生徒の皆さんは首を大きく傾けて見上げていました。

その後、東日本大震災のエピソードをまとめた展示や証言映像、資料など並ぶ展示ギャラリーへ進みます。1人でじっくりと展示パネルを読み込んだり、友達と指を差し合いながら証言映像を眺めたりして、各自で学びを深めていきます。




次にアートゾーンでは、スタッフの説明を聞きながら、クリスチャン・ボルタンスキーの「MEMORIAL」を鑑賞。生と死、命の尊厳に向き合いながら作品を作り続けてきたボルタンスキーの思いを感じて、プログラムが行われるラーニングシアターへと進みます。

今回受講いただいた「プログラム2 そのとき命が守れるか」では、町の指定避難場所・避難所の多くが津波に襲われた南三陸町の事例から、自然災害が発生すると想定をはるかに超えた事態に直面することがあるということを学びます。映像では、震災当時中学生・高校生だった証言者たちが、あの日津波に襲われた避難所でどのような避難や対応をしたのかを語ります。プログラム中、いくつかの問いかけや1分間の対話の時間が設けられていて、周りの人と話すことで、自分自身の理解を深め、新たな気づきや考え方を得ることができます。






今回参加した生徒さんから、

「証言映像を見ながら、メモをとったり、周りと話し合ったりしたことで、自分がもし同じ状況になったらどう行動するか考えさせられました。避難先に2つ目の選択肢を作っておくという教訓は私たちにも活かせそうだなと感じたので、今やっている避難訓練で満足せず、いざという時のことをもっと考えていきたいと思いました」

「映像の中で出てくる問いにすぐ答えられなかったことで、普段の生活の中で災害が起きた時のことや防災について考えられていないことに気づきました。自然災害に襲われた時、とっさの判断と行動ができるように、日頃から当事者意識を持って考えていきたいです」

と感想をいただきました。

引率した先生からは、

「プログラム2は、同世代の人の証言や経験談が多く取り上げられているので、生徒達は自分ごととして感じられたと思います。今回プログラムを受講した東北コースでは、他の地域の震災経験についても学ぶので、南三陸町で聞いたお話を1つの参考にしながら、生徒たちと防災について考えを深めていきたいと思います」

と感想をいただきました。




南三陸311メモリアルのラーニングプログラムで大切にしていることの1つが、自分以外の誰かと語り合うことです。短時間でも誰かと話せば、自分にはなかった考え方に触れることができます。自分以外の意見も取り入れながら、さまざまな事態にどう対応するか考え続けていくことが大切です。その積み重ねが、いざという時に自分の命を守ることに繋がるのだと、感じていただけたら幸いです。

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南三陸311メモリアルでは、全国各地の団体様に教育旅行などでご利用いただいております。
事前事後学習に活用いただけるミニブックの他、各種語り部プログラムもご用意。より深い学びにつながるプログラムをご用意しております。

各種語り部プログラムの詳細はこちら

団体予約などの問い合わせはこちらからどうぞ。


【選択プログラム】ラーニングプログラム②「そのとき命が守れるか」
【日時】2023年3月3日(金)
【人数】138名




3月は東日本大震災が発生した月です。震災から12年が経った今も、当時の教訓や防災について学びたいという方々の来訪が後を絶ちません。今回取材した、仙台市立青陵中等教育学校様もその1つです。

今回、南三陸町を選んだ理由を引率の先生に伺ったところ、「教育旅行の日程が3月ということで、東日本大震災の教訓や防災への学びを深める教育旅行にしたいと考えました。そんなとき、南三陸町に新しい震災伝承施設がオープンすると知りました。映像を用いたラーニングプログラムであれば、当時の記憶がない生徒にも、被災当時の様子が想像しやすく、より身近に防災について学べるのではないかと期待して、行程を組みました」とおっしゃっていました。

今回は、南三陸311メモリアルのラーニングプログラム「プログラム2 そのとき命が守れるか」と、語り部とともに実際の被災場所をめぐる「バス語り部」を組み合わせ、クラスごとに時間帯を分けて実施しました。今回の取材では、先に南三陸311メモリアル、その後バス語り部をおこなったクラスに同行しました。

「プログラム2 そのとき命が守れるか」では、町の指定避難場所・避難所の多くが津波に襲われた南三陸町の事例から、自然災害が発生すると想定をはるかに超えた事態に直面することがあるということを学びます。



震災当時中学生だった証言者たちは、避難所で津波に襲われました。プログラムでは、当時彼らがどのような避難や対応をしたのか知ることができます。そして、その証言を参考に、自分にできる防災や防災への考え方について、周りの人と話し合いながら深めていきます。自分達と同世代の人が、当時どんな体験をしたのか、どんな思いだったかを聞くことで、より身近に震災についての理解が深まると、多くの学校で取り入れていただいているプログラムです。





プログラム2の視聴後、語り部の案内で、証言映像に出てきた旧戸倉中学校へと向かいます。指定避難所だった戸倉中学校の校舎も津波で浸水してしまい、中学生もグラウンドから必死に山に登って避難しました。現地に訪れてみたことで、校舎を襲った「約22.6mの津波」がどれくらいの高さだったのかを体感的に理解します。





自分達よりも遥かに高い位置に津波到達ラインがあることを知り、生徒のみなさんは津波の凄まじさを実感している様子でした。語り部から、震災後中学生達がどのように過ごしていたのかという話を伺いました。友達と学校に通う、卒業式をする、家に帰って家族と過ごすという、当たり前だった生活が当たり前ではなくなってしまったということを話していました。

その後、旧防災対策庁舎のある震災復興祈念公園へ向かいました。プログラム2で、南三陸町は震災後に土を盛り、町の至る所をかさ上げしたという話が出てきます。今では、311メモリアルなどの施設がある場所から、見下ろせる場所にある旧防災対策庁舎。ここが震災前の町の高さだということを実際に歩いて感じてみます。プログラムの証言だけでは想像できなかった震災後のまちづくりや防災への考え方を、より深めることができたようでした。



参加した生徒の方からは、

「南三陸311メモリアルで、津波の映像を見たり、証言を聞いたりすることで、命を奪う自然災害の恐ろしさを痛感しました。実際に旧戸倉中学校や旧防災対策庁舎を訪れたことで、より当時の様子が想像でき、本当にすごい災害が起こったのだと実感しました」

「語り部さんのお話にあった、『自分の命をまず守る。自分の命を守ってから人の命を守るんだよ』って話が印象に残っています。まずは自分の命を守るために、今回学んだことを日頃の防災に生かしていきたいと思います」

と感想をいただきました。


引率の先生からは、

「映像を見た後に、実際に被災した場所へ行くことで、私としても非常に実感が湧きました。自分の想像以上に生徒達が真剣に考え、学んでいる様子が見られたので、2つのプログラムを組み合わせる行程にしてよかったなと思います。震災や防災について考えるきっかけにはなったと思うので、今後も生徒達と防災について考えていきたいと思いますし、今日の学びを思い返していきたいと思います」

と感想をいただきました。

南三陸311メモリアルのとある場所に、「わかることは、変わること」という言葉が刻まれています。

今回、証言を聞いて知ったこと、周りの人との話し合いの中で気づいたこと、実際に現地を歩いてみて理解したことが、参加した方々の防災への意識や生き方に変化を与えるきっかけになれば幸いです。

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今回は、4つのグループに分かれて、ラーニングプログラム/バス語り部を組み合わせて実施いたしました。
南三陸311メモリアルでは、まちあるきやバス、震災講話などの各種語り部プログラムと組み合わせて、より深い学びにつながるプログラムをご用意しております。

各種語り部プログラムの詳細はこちら

団体予約などの問い合わせはこちらからどうぞ。

2023年1月19日(木)と26日(木)、東日本旅客鉄道株式会社新宿地区のみなさまが、南三陸311メモリアルに来館されました。

東京都内で駅業務などを担当する、入社1年目社員の方々のフォロー研修としてご利用いただきました。

今回の研修では、仙台市で震災当時に被災した社員の講話や、震災後に走り出したBRTの乗車体験なども実施されたとのことで、その一環で当館の展示見学やラーニングプログラムの受講を行っていただきました。

参加されたみなさまからいただいたコメントを、一部ご紹介します。

「プログラムを受けることで、避難場所の答えは一つではなく、瞬時の判断が必要ということが学べました。また、実際に避難を経験した方々のお話を聴いて、自分の目の前で何人もの命が失われていく状況が、自分の想像を絶するお話で防災対策の必要性と命の重さを学べる施設だと感じました。」

「東日本大震災が発生した当日の内容を詳しく学べ、それを自分事として考えさせられる施設でした。『東日本大震災は想定を遥かにこえてきた』そんな実体験から自然災害に対して100%の安全、100%の避難計画は存在しないという内容が大変印象的でした。」

 「震災当時の行動と教訓を、話し合いながら現地で学習できたこと、そして日本と世界が一丸となって尊い命を守り、伝えようとしていることを思い出すことができました。南三陸311メモリアル鑑賞後に街並みを改めて見ると、再開発された町並みは驚くほど綺麗で、南三陸に住む人々の記憶と思い出が詰まった町並みが跡形もなく消え去った事を意味していると考えざるをえなかったです。」

「プログラムの「もし今〇〇が起きたらどうしますか」というフレーズが強く印象に残りました。東日本大震災では想像を超える規模の津波が起き、避難所とされている建物でさえ安全ではない状況で、「ここなら大丈夫」と決めつけず「もし更に大きい地震・津波が来たら…」と考え続けることが大切だと感じました。また当時のお話を涙ぐみながらもお話してくださる方の映像を見て、言葉に上手く表現できない苦しさを感じると共に、日本人として忘れてはいけないことだと感じました。」

参加された方の中には、東北や被災沿岸部を初めて訪れたという方も多く、初めて見聞きする被災地の話に驚くことも多いようでした。自分たちの安全や実際のお客さまの安全を守るために必要なことは多々あるかと思います。それを考え実践するために、当館をはじめ、被災地での経験や教訓を活かしていただければ幸いです。

ご来館いただき、誠にありがとうございました。

1月18日、南三陸町唯一の高校、志津川高校3年生のみなさまが南三陸311メモリアルに来館されました。

毎年実施している「ふるさと南三陸を学ぶ講座」の一環です。例年は高校を会場に震災講話などの防災学習をされていましたが、昨年10月にメモリアルが開館したこともあり、今年は当館のラーニングプログラムを受講していただきました。

プログラムの受講にあたり、佐藤仁町長より南三陸町の震災被害の実態や11年の復興のあゆみ、そして施設の設置目的が「震災伝承・防災教育・感謝」であることを、お話いただきました。

今回ご覧いただいたのは、レギュラープログラム②「そのとき命が守れるか」です。このプログラムでは、震災当時の中学生、そして志津川高校の生徒だった方の被災体験やそこから感じていたこと、11年が経った今になって考えたことが語られています。

自分たちの先輩がとった行動、そして今まさに自分たちが通っている学校での出来事を目の当たりにし、驚きと同時に高校生でも訓練や経験を活かしてできることがあるんだと感じた生徒さんも多かったようです。




昨年10月1日の開館以降、地元南三陸町内をはじめ、多くの学校様にご利用いただく機会も増えてまいりました。昨年11月には防災学習の一環で志津川小学校の3年生や6年生がラーニングプログラムを受講され、今後もいくつかの小学校からご予約をいただいております。

南三陸町で生まれ育つ地元の子どもたち、そして震災を知らない世代の子どもたちに南三陸町の経験を語り継いでいくことが、南三陸311メモリアルの役割のひとつであると、私たちは考えています。震災を知らない世代の子どもたちが真剣に学ぼうとする姿に、私たちができることを、地域の皆様と一緒に一つ一つ丁寧に行っていこうと、気持ちを新たにすることができました。

ご来館いただき、誠にありがとうございました。




1月17日、プロ野球チーム東北楽天ゴールデンイーグルスの新入団選手10名の皆様が、南三陸311メモリアルにお越しくださいました。

東北楽天ゴールデンイーグルス公式HPより 2023年度新入団選手が東日本大震災の被災地(南三陸町)を訪問
東北楽天ゴールデンイーグルス公式YouTubeより 【南三陸町】新入団選手被災地訪問

毎年チームキャンプ前に実施している新入団選手研修の一環で、メモリアルを中心に南三陸さんさん商店街や復興祈念公園、旧防災対策庁舎などを見学、佐藤仁町長や当館スタッフがご案内いたしました。

ラーニングプログラムでは、「普段の話し合いと備えが、本当に本番で通用するものになっているのか」などの問いかけが印象的だったようで、「チームスポーツである野球や今後の自分たちの取り組みにも通じるものがある」と、選手たちは口を揃えて仰っていました。



また、みんなの広場では、復興を進める11年の中で南三陸町が数多くのご支援をいただいたエピソードを町長が紹介。沖縄県出身の平良竜哉選手は、沖縄県西表島で見つかった歌津地区の郵便ポストが、厚意とご支援で南三陸町に帰ってきたエピソードを初めて聞いたようで、「こんな繋がりがあったなんて、驚きました。ふるさとが誰かのために役立っていることが嬉しいです」と笑顔でバナーを眺めていらっしゃいました。



東北楽天ゴールデンイーグルスが日本一に輝いた2013年。福島県喜多方市出身の伊藤茉央選手は、あのときの選手たちの姿が強く印象に残っているとのことで、ただ勝つだけではなく、被災地を訪問し、被災者に寄り添って活動していた選手たちに自分も励まされていたと言います。「今度は自分がその立場になったと思います。ただ強くなるだけではなく、そういう姿も見習って強くなっていきたいです。」と、感慨深そうに仰っていました。

球団の勝利一つ一つが、東北に大きな感動と勇気を与えてくださいます。選手の皆様の活躍を期待すると同時に、東北楽天ゴールデンイーグルスの皆様とともに進んで行こうと、私たちも気を引き締める思いでした。


ご来館いただき、誠にありがとうございました。



1月11日、東北を代表するJリーグチーム「ベガルタ仙台」の皆様が、南三陸311メモリアルにお越しくださいました。

ベガルタ仙台公式HPより 1月11日(水)、宮城県南三陸町の南三陸311メモリアルを訪問いたしました。

毎年、Jリーグのオフシーズンに実施されている被災地訪問企画の一環で、この日は当館と合わせて南三陸さんさん商店街、平成の森運動場を訪問され、町内の伊里前小学校での交流会なども実施されました。当館ではラーニングプログラム「その避難が生死を分ける」をご覧いただき、その後スタッフが館内をご案内いたしました。

防災対策庁舎のエピソード映像や浅田政志さんの作品をご覧になりながら、震災直後の悲しい事実だけではなく、南三陸が歩んできた11年のあゆみに思いを馳せている様子でした。

また、ラーニングプログラムでは選手同士の1分間の対話も活発に行われ、「大切なものを守るために何が必要なのか、何ができるのか」を考えていただきました。



震災当時、名古屋市の小学生だったという山田寛人選手は「テレビに映る津波がとても怖かったのを覚えている」とのことで、「ラーニングプログラム内に「震災が起こる2年前から備えをしていた」といった内容があった。そこから考えると備えが足りないと感じた。」と、気を引き締めた様子でした。


長らくベガルタ仙台で活躍されている蜂須賀孝治選手は、これまで選手同士で話し合って考える機会は少なかったといい、「今住んでいるところの避難場所や避難経路を確認している選手はまだまだ少ないと思う。これを機に、確認し合うことが重要だと思った。」と話されていました。


伊藤彰監督は、当時は仙台にはいなかったものの、震災直後に友人と連絡が取れなかったことを今でも覚えているとのことで、「やはり大変なことが起きていたのだと、改めて実感した。地域の人たちの力になれるように、復興の力や象徴になれるように、頑張りたい。」と感想をくださいました。

今回来館された選手の中には、初めて震災後の被災沿岸部を訪れたという方もいらっしゃいます。震災から12年を迎えようとしている中でも、被災地に心を寄せていただき、足を運んでいただいたことを嬉しく思います。

今後もベガルタ仙台様と一緒に復興に取り組んでいけるよう、南三陸311メモリアルも進んでいきたいと思います。

ご来館いただき、誠にありがとうございました。