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【来館レポート】広島市立舟入高等学校様がラーニングプログラムを体験

10月8日、広島市立舟入高等学校のみなさまが、修学旅行で南三陸311メモリアルへご来館されました。

広島市立舟入高等学校の修学旅行では、北海道・宮城・福島など、いくつかの訪問先から生徒それぞれが希望するコースを選択。宮城県はそのコースの中の1つです。各地の震災遺構や伝承館への訪問、産業復興や震災後のまちづくりの中心を担った方からの講話などを通じて学びます。


南三陸311メモリアルに入ってすぐのエントランスには、震災に関する数字やデータをまとめたパネル・立体地図があります。エントランスでは、震災前の町の海抜から10.8m嵩上げした高さにこのメモリアルが建てられていること、そしてこの施設の天井とほぼ同じくらいの地点に津波が到達したことが、スタッフから開設されました。壁には旧防災対策庁舎を襲った津波の高さ15.5mのラインが示されていて、生徒の皆さんは首を大きく傾けて見上げていました。

 

その後、東日本大震災のエピソードをまとめた展示や証言映像、資料などが並ぶ展示ギャラリーへ進みます。

1人でじっくりと展示パネルを読み込んだり、友達と指を差し合いながら証言映像を眺めたりして、各自で学びを深めていきます。

その奥のアートゾーンでは、クリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーション作品「MEMORIAL」を鑑賞。生と死、命の尊厳に向き合いながら作品を作り続けてきたボルタンスキーの思い、そして積み上げられた錆びた缶とそれを照らす白熱灯の灯りから、失われた命を想い馳せます。


今回、メインとなるプログラムは、ラーニングプログラムのレギュラー②「そのとき命が守れるか」を選択されました。

町民の証言映像を視聴し、町の指定避難場所・避難所の多くが津波に襲われた南三陸町の事例から、自然災害が発生すると想定をはるかに超えた事態に直面することがあるということを学びます。

映像では、震災当時中学生・高校生だった証言者たちが、あの日津波に襲われた避難所でどのような避難や対応をしたのかを語ります。プログラム中、いくつかの問いかけや1分間の対話の時間が設けられていて、周りの人と話すことで、自分自身の理解を深め、新たな気づきや考え方を得ることができます。

対話の時間では、「広島って土砂崩れが多い地域だよね」「台風や豪雨災害の時って地震と同じ備えじゃダメじゃない?」「津波がきたら屋上じゃ逃げられないよね」など、知っている知識や気づきと合わせて、様々な感想が飛び交っていました。


館内見学後に感想を伺いました。

ある男子生徒さんは、南海トラフ地震が心配される中で、地震などの対策を考えたいと思って宮城コースを選択されたとのこと。

「印象に残ったのは、第2第3の避難先を考えるという消防士さんの話。一度の避難で安心してしまいそうだが、その先も危険を考え続ける必要があるんだと思いました。」

また、別の女子生徒さんは、「福島の原子力災害のことを学ぶことが多く、宮城の地震や津波のことを学ぶ機会は少なかった」から、今回宮城コースを選択されたそうです。

「印象に残ったのは、中学生自身が人命救助を行ったという話と、それでも人を救えなかったという証言。自分が中学生だったらきっとできなかったと思う。それでもやらなければならない時があるんだと思ったし、そのときに自分は行動できるのか、これからも考えたいです。」

先生にお話を伺うと、東北方面は初めて訪問するとのことで、「自分で選択したコースなので、みんな楽しみにしてきました。広島は平和教育が盛んで、実際の被害状況を伝える施設が多いんですが、自分がどう考えるかを問いかける施設はなかなかありません。とても充実した学びになりました。」と感想をいただきました。


帰り際、将来教員を目指しているという生徒さんが、「知らないこともありましたし、それ以上に考えることがたくさんありました。」と、お話されました。

南三陸311メモリアルは、震災の出来事や教訓を伝えるための施設である以上に、考え続けるためのきっかけを提供することが役割の震災伝承館です。「何が生死の分かれ目になってしまったのか」「自分自身ならどう判断しどう行動するのか」など、答えのない問いを考え続けることが大切だと、私たちは考えています。

今回の学びや気づきが、これからの生活の中で大切なものを守るために活かしていただけたら幸いです。

広島市立舟入高等学校のみなさま、ご来館ありがとうございました。