2024.08.22 来館レポート 【来館レポート】戸倉小学校の先生方が教員研修でご来館 8月21日、夏休み中の教員研修として、南三陸町内にある戸倉小学校の先生方が南三陸311メモリアルを訪問されました。 昨年に続き2回目の教員研修ですが、新しく赴任された先生や町外から通っていらっしゃる先生も多いため、あらためて震災のことや地元の戸倉地区のことを学びたいという目的で、今年もご来館いただきました。 まず初めに、震災時の南三陸町の概況や防災対策庁舎の建設理由、東日本大震災時にチリ地震津波からの教訓がどう生かされたのかなどを、エントランスでお話ししました。 メインとなるラーニングプログラムは、4月に公開されたレギュラープログラム3「いのちを想う」をご覧いただきました。 大勢の人と避難場所にいるという安心感が危険を察知する感覚を鈍らせてしまうことがあることを学ぶとともに、当時の小中学生や漁師たちの証言から、彼らが被災後をどう生きてきたのかに耳を傾け、考えるためのプログラムです。 南三陸311メモリアルのラーニングプログラムでは、「この状況で、あなたならどうしますか?」という問いかけが参加者に投げかけられます。 レギュラープログラム3「いのちを想う」では、震災時の実際の避難行動による反省を口にした町民の証言をヒントにした問いかけとなっており、先生方もその理由を考えながら対話を重ねていました。 証言映像を観ながら、投げかけられた様々な問いについて対話しながら、参加者同士で考え合うというのが、当館のラーニングプログラムの特長です。当時この町で経験したときの様子を話したり、普段の子どもたちの様子を思い出しながら対話されている姿が印象的でした。 館内見学後に、先生方に感想を聞かせていただきました。 戸倉小学校に赴任して2年目のある先生は、昨年の研修で見たプログラムも覚えているとのことでした。「今年見た新しいプログラムは、より子ども目線で作られていると感じました。単級学校なので、普段からより深く子どもたちとやり取りをしています。今担当している子どもたちとも、また学びに来たいとな思いました。」 岩手県内陸部のご出身だという先生は、震災後にボランティアで何度か沿岸部に来たことがあるそうで、「映像を観たり伝承館に来たりすると、当時のことを思い出します。子どもたちのことも考えますが、それだけではなく自分の地元のことも考えてしまいますね。それに、意外と戸倉のことを知らない子どもたちは多いので、震災のこととあわせて地元戸倉のことも学んでくれたら嬉しいです。」と仰っていました。 館内みんなの広場には、写真家の浅田政志さんと町民のみなさんが一緒にアイデアを出し合いながら作り上げた「みんなで南三陸」という写真集の作品を展示しています。 先生たちがプログラム後に注目してご覧になっていたのが、戸倉かき生産部会の牡蠣漁師さんたちの作品でした。 レギュラープログラム③にも、震災後に戸倉の牡蠣漁師さんたちが取り組んだASC認証取得のエピソードが登場しますが、普段の授業でも戸倉の漁師さんたちに関わっていただくことも多いそうです。「顔の知った漁師さんたちが震災を語る姿も印象的だし、写真の中でにこやかに笑っている表情も素敵ですね。本当に、戸倉のことを多く学べる施設なので、子どもたちとも一緒に来て一緒に考えていきたいと思います。」 プログラムの内容や館内展示を活用して子どもたちがどんな学びができるのか、メモリアルを出る最後の最後まで話が尽きなかった先生方の姿が印象的でした。 子どもたちと日々を共にする先生方が、子どもたちと共に考えるために、少しでもお力になれたら幸いです。 戸倉小学校の先生方、ご来館いただき誠にありがとうございました。