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【来館レポート】入谷小学校の先生方が職員研修でご来館されました

8月8日、南三陸町内にある入谷小学校の先生方が、夏休み中の職員研修として、南三陸311メモリアルを訪問されました。

今年1月には入谷小学校の5-6年生が震災学習で訪問してくださいましたが、今回のように職員研修として訪問いただくのは初めてとのこと。

今回の研修先としてメモリアルをお選びいただいたのは、「震災を学ぶと同時に、自分たちが子どもたちに何を伝えていけるのかを考えるきっかけにしたい」という目的からとのことでした。


まず初めに、震災当時に南三陸町役場職員だったスタッフから、この町の防災計画や避難計画がどのような考えで構築されたのか、そして東日本大震災をへて得られた教訓は何かをお伝えしました。

今回の研修では、館内展示とあわせて、今年4月に新しく公開されたラーニングプログラム3「いのちを想う」をご覧いただきました。

大勢の人と避難場所にいるという安心感が危険を察知する感覚を鈍らせてしまうことがあることを学ぶとともに、当時の小中学生や漁師たちの証言から、彼らが被災後をどう生きてきたのかに耳を傾け、考えるためのプログラムです。

南三陸311メモリアルのラーニングプログラムでは、「この状況で、あなたならどうしますか?」という問いかけが参加者に投げかけられます。

ラーニングプログラム3「いのちを想う」では、震災時の実際の避難行動による反省を口にした町民の証言をヒントにした問いかけとなっており、先生方も話し合いながら選択をしていました。

証言映像を観ながら、投げかけられた様々な問いかけについて対話しながら、参加者同士で考え合うというのが、当館のラーニングプログラムの特長です。当時この町で経験したときの様子を話したり、普段の子どもたちの様子を思い出しながら対話されている姿が印象的でした。

ラーニングプログラム終了後に、当時この町で震災を経験された先生から感想を伺いました。

「当時は大学生で、実家で牡蠣むきを手伝っていたときに揺れました。今担当しているのは震災後に生まれてきた子どもたちです。何を伝えられるか、何を考えてもらうべきか、自分の経験も伝えながら考えていけたらと思います。」


南三陸町入谷地区は、町内で唯一海に面していない地区であり、震災時も津波被災がほぼありませんでした。そういった地区で暮らす子どもたちへの震災学習は、海が見える地区の子どもたちへの伝え方とも異なるかと思います。

震災時に南三陸町で被災した先生、近隣市町村で震災を経験した先生、震災後に教師になった先生、震災時は町を離れていた先生。先生それぞれの経験が異なる中で、震災後に生まれた子どもたちと震災をどう考えるのか。

南三陸311メモリアルのラーニングプログラムは、防災や自然災害に対して明確な答えを提示するプログラムではありません。「自分なら、どう判断して行動するか」、それを考えるきっかけをつかんでいただくためのプログラムです。

子どもたちと日々を共にする先生方が、子どもたちとともに考えるために、少しでもお力になれたなら幸いです。

 

入谷小学校の先生方、ご来館いただきありがとうございました。